契約結婚――拾った夫は財閥の会長で、資産は千億円もある
桃音りり
恋愛結婚生活
2025年11月20日
公開日
4.4万字
完結済
彼氏に裏切られ、家族に結婚を強要され、祖母の京都の町屋を守るため――白石穂香は雨の夜、見知らぬ男に叫んだ。
「すみません、私と結婚してくれませんか!」
――まさか、その男は「いいですよ」と答えた。
契約結婚のはずが、彼は町屋に引っ越してきて、毎日お茶を入れ、食事を作り、庭を手入れする。冷たい契約のはずなのに、その優しさは胸を締めつけるほど甘く――。
花火大会の夜、彼に守られた瞬間、偽りの結婚が本物の恋に変わる予感がした。
しかし、彼は何も告げずに去った。
そして、九条百貨の専務取締役が優しく告白する。
「あなたにはもっとふさわしい人がいる。」
そして明かされる衝撃の真実――貧しいふりをしていた夫こそ、関西商界を支配する五十嵐グループの会長、五十嵐謙。雲の上の存在、別世界の支配者だった。
嘘が暴かれたとき、彼はすべての誇りを捨て、片膝をつき、赤く潤んだ瞳で彼女に言う。
「契約は終わらせられる。でも、私たちを終わらせないで……」
しかし、彼女の傍にはすでに、もっと優しく、誠実な九条雅人がいる。
二人の優れた男性――
一人は高みから降り、彼女のために膝をつく冷徹な会長。
もう一人は温潤で未来を約束してくれる名家の御曹司。
今回の選択権は、彼女の手の中にある。