Fumi Mizuno
恋愛現代恋愛
2025年11月28日
公開日
4.4万字
連載中
東京の夜を舞台に繰り広げられる、運命の恋物語。
柊柊悠斗——巨大企業グループの後継者でありながら、虚飾に満ちた上流社会に息苦しさを感じる「理性のプリンス」。あるファッション発表会で、彼はひとりの女性と出会う。佐藤雪——歌謡界に彗星の如く現れた新人シンガーだが、その圧倒的な歌唱力とは裏腹に、心を閉ざし、一切の社交を拒む「氷の女王」。
周囲の喧騒をよそに、ただ一人ベルベットのソファに座る雪の孤高の姿に、悠斗は強烈な興味を掻き立てられる。バーでの偶然の再会、音楽プロジェクトを口実にした接近、そして雪の過去に潜む深い傷——父を早くに亡くし、母からも疎まれてきた孤独。
「人を信じることを恐れているだけだ」
悠斗は執拗かつ巧妙に雪の心の殻を破ろうと試みる。しかし、雪の冷たい拒絶は厚い壁として立ちはだかる。さらに、悠斗の実家である柊柊家は、家柄を重視し、雪との関係を猛反対。婚約者としてふさわしいのは、名家の令嬢だと迫ってくる。
「お前の世界に、誰も入れない」という雪。
「俺が君の孤島を壊してみせる」という悠斗。