ゆらら
恋愛現代恋愛
2025年12月01日
公開日
4.4万字
完結済
婚約披露宴で婚約者の浮気を目撃した雨宮朋香は、酔った勢いで誤って見知らぬ男の車に乗り込んでしまう。
そのまま一夜を共にし、彼女は金を置いて言い捨てた。
「もう二度と会うことはないわ」
そして婚約披露宴でクズを公開で暴いたその瞬間──
あの男が姿を現した。
彼の名は神宮寺邦彦。
商界の伝説にして、あの渣男の叔父でもあった。
彼は人前で堂々と宣言する。
「君が捨てるというなら、私がもらおう」
元婚約者が土下座して許しを請えば、
彼は即座に投資を引き上げ、相手の会社を破産させた。
元婚約者がしつこく付きまとうなら、
彼は拳で一撃し、言い放つ。
「彼女は俺の女だ」
元婚約者は涙を流して叫ぶ。
「朋香、俺が悪かった……!」
彼女は神宮寺の腕の中で冷たく笑った。
「藤原さん、“おばさん”って呼んで?」
そして後になって彼女は知る。
この寡黙で禁欲的な男が、十四年もの間、自分を待っていたことを。
──十四年前、彼にとって彼女は見えない光だった。
十四年後、彼は彼女の全てになった。