流産して離婚された私が、なぜか財閥御曹司に甘やかされ続けています
マンボウ
恋愛現代恋愛
2025年12月02日
公開日
4,691字
連載中
流産手術を終えたその日、
駿河綺音のもとに弁護士事務所から一本の電話がかかってきた。
夫の駿河翔斗が、少女の不法監禁の疑いで事情聴取を受けているというのだ。
綺音は虚ろな身体を引きずりながら駆けつけた。
しかし、そこで目にしたのは――
まだ二十歳にも満たない愛らしい少女を、翔斗が抱きしめながら優しく慰めている姿だった。
その瞬間、綺音の心は完全に折れた。
彼女は夫の宿敵に一本の電話をかけた。
——
駿河翔斗は、彼に最愛の人を失わせた綺音に復讐するつもりだった。
だが、綺音が振り返りもせず去っていく背中を見て、
自分がいまだに彼女を愛していることにようやく気づく。
再び綺音と再会したとき、翔斗は知る。
自分の妻こそ、世界で最も謎めき、そして最も名声を持つジュエリーデザイナーだったのだと。
後悔に苛まれ、綺音を取り戻そうとした翔斗だったが、
彼の前に“宿敵”が立ちふさがる。
男は挑発的に笑った。
「駿河社長は、私の妻に何のご用でしょう?
彼女はもう、私という夫がいる身ですよ。」
綺音の胸にじんわりと温かいものが広がる。
彼女はそっと、その男の手を握った。
——そう。
この人こそ、自分が一生を共にしたいと願った相手なのだ。