2年間ブスを演じて盾にされた私、化粧を落としたら国宝級美女で元カレ絶句
ゆいぽん
恋愛現代恋愛
2025年12月04日
公開日
6.6万字
完結済
西園寺彩月は、大阪一の財閥令嬢。
十四歳の時、母は彼女を守って凶刃に倒れた。自分の美貌が母を殺したと思い込んだ彼女は、偽名を使い「森下彩月」としてわざとブスに化け、一人東京へ。
慶應大学で、彼女は東京財閥の御曹司・黒部碧斗に一目惚れした。鶴を折り、朝ごはんを届け、バスケコートでこっそり差し入れをする……。全力で追いかけて、七夕の夜、彼はついに付き合ってくれた。
彩月は恋を手に入れたと思っていた。でもそれは、緻密に仕組まれた罠だった。
黒部碧斗には、初恋・松戸英里紗を守るための「盾」が必要だった。ブスに化けた彩月が、ちょうどいい標的になったのだ。
ノートを破られ、ロッカーにペンキをかけられ、食堂で突き飛ばされ、誘拐までされた――本来なら英里紗が受けるはずだった悪意を、全て彼女が引き受けさせられていた。
真実が明らかになった時、もっと残酷なことが待っていた。彼は英里紗のために、彼女が亡き母を想って撮った作品を盗んだ。彼女が真相を明かそうとすると、彼は人を連れてきて彼女の機材を全て破壊した――三年かけて集めた、母との最後の大切な映像まで。
心が壊れた彩月は大阪に帰り、本当の姿で戻ってきた。ネットは大騒ぎになる――「ブス女・森下」が実は西園寺家の令嬢だった!
黒部碧斗はその時初めて知った。自分が壊したのは、自分と釣り合う名門令嬢だったことを。
でも、あの目に光を宿して必死に彼を愛してくれた女の子は、もう死んでしまった。
復讐者の手が彩月を襲い、刃が迫った時、彼はようやく分かった――
失ったものは、二度と戻らない。