私が応募した禁欲系社長は、十三年前に私を救ってくれた白蛇の妖だった
千霊ちか
恋愛現代恋愛
2025年12月05日
公開日
7万字
完結済
面接の日、星野汐里は“決して笑わない”と噂される氷室社長と対面した。
銀白の短髪、琥珀色の金の瞳。
禁欲系すぎて息が止まりそうなほど。
面接の課題は——「一匹の白蛇の世話をすること」。
「怖くないのか?」
「怖くありません。」
彼女が本能的に手を差し出すと、小さな白蛇は嬉しそうにその手のひらに頬を寄せた。
その夜、彼女は採用された。
給与は業界の三倍、さらに個室オフィス付き。
同僚たちはひそひそと囁く。
「もしかして特別な関係……?」
彼女が知らないのは——
この男が彼女を待ち続けて十三年経っているという事実だった。
▪ 柳生商社の御曹司が彼女を口説こうとすれば、
社長は即座に相手の会社を買収する。「彼女は私の人間だ。」
▪ 藤原家の令嬢が彼女を陥れようとすれば、
社長は三日で一族を東京から撤退させる。「彼女に触れれば、死だ。」
そして彼女はついに思い出す——
六歳のあの日、森で自分を救ってくれた白い大蛇。
あれは、他ならぬ彼だったのだ。