来世俺を選ぶなと言った夫は、 今世私の玉の輿婚を知って後悔した
ブリス
恋愛S彼・俺様
2025年12月26日
公開日
5,582字
連載中
前世、誰もが言った――「中本紗夜は良い旦那さんをもらった」と。けれど誰も知らない。
北川 深は、何年も彼女を冷たく扱い、彼の死に際でさえ「来世はもう俺に纏わりつくな。俺が愛してるのは別の人だ」と言い放った。
──そして紗夜は生まれ変わった。
今世の彼女は、深の望みどおり北川家との婚約を拒み、雷門 焔との結婚を選ぶ。
置き去りにされた『元夫』は、呆然と立ち尽くすしかなかった。
だが周囲の声は冷ややかだ。
「雷門家との結婚なんて、やめておきなさい」「早いうちに逃げ道を考えとけって」
そんなとき、実家の財産が曽根家に奪われかけた紗夜を救ったのは他でもない、雷門 焔だった。
それなのに元夫は家まで押しかけてきて、「雷門焔は凶暴で悪名高い! お前を連れ戻しに来た!」と必死の形相。
紗夜は腰をおさえながら淡々と言う。
「確かに、夜になると彼がしつこく求めてくるね。なぜ知ってるの?うちのベッド下に潜ったの?」
また別の日、誰かが噂した。「雷門焔は皆に怖がられる、まさに冷酷社長そのもの!」
紗夜は顔を覆ってため息をつく。
「それって財産のこと?うん、その“評価”は確かに的確かも……」
さらに叔母さんが心配する。「焔さんって女っ気ないって聞くけど、紗夜寂しくないの?」
紗夜はそっとお腹をなでながら答えた。「今、妊娠三ヶ月目だけど?」
子供の百日祝いの日に、焔が子を抱き、紗夜がケーキを食べてるところへ、元夫が土下座して叫ぶ。
「紗夜! あの日、俺を助けたのは君だったんだ!愛してるのはずっと君だった! もう一度だけ、チャンスを……!」
紗夜はケーキを口に運びながら静かに告げる。
「普通は“恩返し”でしょ……?あなたの場合、完全に“仇返し”なんだけど。もう二度と、誰かを気軽に助けたりしないって決めたわ……」