クズ男に「貢献なし」と言われた私、国際プロジェクトのリーダーになりました
きなこもち
恋愛現代恋愛
2025年12月05日
公開日
6.7万字
完結済
森野愛梨は十年間、天才研究員・瀬戸晴人のそばに寄り添ってきた。
優秀な助手として、そして婚約者として。いつか彼が自分を見てくれると信じて。
それは結婚式の一ヶ月前に終わった。
指導教授の娘、松葉朋世が現れたのだ。明るく、太陽のような彼女。ずっと影で生きてきた愛梨とは何もかもが違った。
愛梨が心血を注いだ研究成果は、朋世の名前で発表された。
重要な報告会では、瀬戸の口から「森野は補助業務のみ。核心的な貢献はない」と否定された。
そして、あの冷たい瀬戸が、朋世にだけは優しかった。
愛梨はようやく悟った。十年の想いは、報われることはないのだと。
婚約破棄。データ削除。そして北海道への転勤願い。
その地で出会ったのが、望月朔也だった。
彼は愛梨の疲れに気づいてくれる。危険な時には真っ先に守ってくれる。成功を心から喜んでくれる。
瀬戸晴人が失ったものの大きさに気づいた時——
愛梨はもう、彼の手の届かない場所にいた。
「遅すぎよ。私はもう、前を向いて歩いているんで」