彼をいじめているつもりが、実はヤンデレ御曹司を餌付けしていた
犬々こ
恋愛S彼・俺様
2025年12月10日
公開日
8.7万字
完結済
虐文の世界に入り込んだ初日、システムは言った——「彼をいじめろ」。
氷室 透、19歳。財閥の後継ぎで、従順でおとなしい少年。
彼女に“虐げられた”のは、まるまる一年。
彼女は彼に朝五時に起きて庭の掃除をさせ——
そのくせ、こっそりハンドクリームを買ってあげた。
彼女は彼に車での通学を禁じ——
その一方で、鞄にこっそり傘と手袋を入れた。
自分は悪女ポジションの脇役だと思っていた彼女。
だが少年は、とっくにすべてを見抜いていた。
あの雨の夜、彼が震えながら隅でうずくまっていた時、
彼女はつい心が揺らぎ、抱きしめてしまった。
彼は肩に寄りかかり、低く囁く。
「お姉さんはいつもそう……本当は僕のことを気にしてるのに、嫌ってるふりをする。」
三日後、彼女は海辺の別荘へ連れて行かれた。
「お姉さん、もう逃がしません。」
少年の瞳から優しさは消え、狂気じみた独占欲だけが残っていた。
「僕を恨んでも、罵ってもいい。でも……」
「どうか、ずっと僕のそばにいてください。」