病弱を装って財閥社長と電撃結婚したら――偽りの結婚なのに、なぜかお嬢様のように溺愛されています
もふもふ
恋愛結婚生活
2025年12月12日
公開日
2.9万字
連載中
十一年前、両親は交通事故で亡くなり、水無月千尋は他人の家に身を寄せることになった。
十一年間、彼女はボロ茶室に住まわされ、白い目で見られ、耐え続けてきた。
ただ一つの事実を知っていたから──
あの事故は、伯父と三つの企業が手を組んで仕組んだものだった。
復讐したい。
だが、彼女はいつ死んでもおかしくない病弱な身体。
だからこそ、彼女には“刃”が必要だった。
憎しみを断ち切るほど鋭い刃が。
そして銀座の茶室、あの雪の夜。
千尋は“うっかり”別の個室へと足を踏み入れた。
「氷室会長……私、あなたと結婚したいんです。
あなたが必要としなくなったら、そっと消えます。迷惑はかけません。
お医者様も、私は二十八までもたないって……離婚する手間さえありません」
ビジネス界の修羅・氷室龍之介は
風が吹けば倒れそうなほど華奢な少女を見つめ、取引を受け入れた。
結婚後、彼女は彼をただの冷たい“協力者”だと思っていた。
けれど、彼はずっと影で彼女を守っていた──
従姉が千尋をいびれば、相手を社会的に抹殺し、
伯父が彼女を利用しようとすれば、資金源を容赦なく断ち、
仇が彼女を誘拐すれば、自ら殴り込み、相手の顔面を一撃で潰した。
「千尋、君が俺にふさわしくないんじゃない。俺が君にふさわしくないんだ。」
「君の仇は、俺の仇だ。」
「死ぬなんて許さない。……一生、俺のそばにいろ。」