奏の物差し〜余命宣告をされた私は、『世界一献身的』な元彼の愛を振り切り、命と幸せを懸けた自立の旅に出る〜
憮然野郎
恋愛現代恋愛
2025年12月16日
公開日
2.3万字
連載中
「あたし貫くよ! 世界でたった一人でも誰かが笑ってくれるなら」
20歳のシンガーソングライター・奏(かなで)を襲った、あまりに過酷な運命。
3年前、17歳の夏。お腹に宿った小さな命。一番支えてほしかったその時、彼氏のヒロは「妊娠の相談」を口実に、職場の女の先輩と肉体関係を持っていた。
彼氏の裏切りを知り、一人で悩み抜いた末、奏は命を諦める「中絶」を選んだ。
そして20歳になった今、追い打ちをかけるように子宮頸がんが発覚。
延命の手術によって、二度と子供を産めない体になるという。
身も心もボロボロになった奏の前に、演は再び現れて、涙ながらにこう言い放った。
「子供が産めない体でもいい、俺が一生責任を取って、結婚してやるから」
――ふざけないで。
あの日、あたしを絶望に突き落として命を諦めさせた張本人が、今さら「聖人」の顔をしてあたしを救う側に回ろうとしている。
それは愛じゃない。自分の罪を、あたしを『可哀想な女』として守ることで、綺麗に塗り替えたいだけのエゴだ。
あたしは決めた。誰にも依存しない、自分だけの生き方を手に入れるために。
軍資金も滞在先も未定。あるのは、石にかじりついてでも生き抜くバイタリティと、愛用のギターだけ。
あたしは「忍者走り」で、雨の日本を飛び出した!
***
あたし等って、他人が作った人生をなんとなく生きてない?
社会や他人の固定観念に流されて、受け身な生き方で自分を殺してない?
あたしは、あたし自身の行動で、この人生を自信を持って生きたいんだ。
たとえ身体の一部を失っても、あたしの魂が奏でる音に嘘はない。
これは、どん底の20歳がロンドンの空の下で「自分だけの物差し(マイ・メジャー)」を刻み直す、逆転と再生の一人旅。
そのためにあたしは……、
"わたし探し"の旅に出た。
本作は単なる復讐劇ではありません。被害者であることを拒絶し、自分自身を『愛おしい楽器』として定義し直すヒロインの、究極の自愛と再生を描いた物語です。
※leccaさんの曲『My measure』から着想を得ました。
第一章全13話まで※毎日更新
更新時間:日曜のみ24時、他21時
※ 奏は、落ち込むこともありますが、普段はドジで可愛い、笑いを誘う愛されキャラです。
※後々わかりますが『』内が奏の本心ではなく皮肉として描かれている場合もあります