予知夢のあと、緘黙症の財閥社長を救ったら、私を豪門の悪女に仕立てたクズ女が社会的に死亡した
くもちーずくも
恋愛結婚生活
2025年12月22日
公開日
4.1万字
連載中
桜井沙羅は、ある夢を見た。
夢の中の彼女は、誰からも罵られる豪門の悪女だった――嫉妬深く、意地が悪く、慈善パーティーの場で人を陥れようとしてその場で暴かれ、最後は夫から冷淡に離婚届を突きつけられ、家を追い出される結末。
目を覚ました彼女は気づく。
その悲劇の始まりまで、残された時間は、あと三か月しかないということに。
そして夫・氷室智臣。
十二年前のトラウマによって失語症となった財閥の後継者は、今も彼女の隣で冷たく眠っている。
同じベッドにいながら、二人はまるで他人同士だった。
変わらなければならない。今日から。
彼女は自ら朝食を作り、深夜には夜食を届け、彼の心理治療にも付き添った。
少しずつ、氷のような心を溶かしていく。
智臣に想いを寄せる秘書が罠を仕掛けた時は、監視カメラの映像が真実を暴き、相手はその場で社会的に死亡。
商業的な敵が隙を突いてきた時には、智臣が取締役会で声を発し、数字と実力で全員を圧倒した。
「俺の妻は、何一つ欠けていない。」
声を失った彼は、ペンでそう書き残した。
それは、この上なく傲慢で、力強い宣言だった。
他人同然の夫婦から、魂で結ばれた伴侶へ。
彼女は運命を書き換えただけでなく、彼の心をも癒し、二人は互いにとっての救済となった。