京都の神社から来た花嫁はちょっとおかしい!? 誰もが財閥に嫁ぐには不釣り合いだと思っていたが、実は神様だった!
宇宙カピバラ
恋愛結婚生活
2025年12月22日
公開日
4.4万字
連載中
椿は京都・三崎家に引き取られた孤児だった。
三年もの間、「お守りの身代わり」として、本来は三崎千鶴が受けるはずの厄災をすべて押し付けられてきた。
呼びつけられては叱られ、物置同然の部屋に住まわされ、残り物を食べる日々。
頬の平手打ちの跡が消えぬうちに、次の重労働を命じられる――。
そんなある日、御手洗家の老当主が三崎家を訪れる。
「この娘だ。――この子を、わしの孫の嫁にする」
こうして椿は、東京屈指の財閥・御手洗家に嫁ぐことになった。
結婚式の日。
御手洗晴は冷たい表情で言い放つ。
「これは取引だ。俺が君を愛するなんて、期待するな」
椿は首をかしげて答えた。
「“愛”って何? 食べられるの?」
――それから。
かつての雇い主が乗り込んで侮辱すれば、晴はその場で三崎家を破産・投獄へ追い込む。
名門令嬢が出自を嘲れば、晴は記者会見を開き堂々と宣言する。
「彼女は俺の生涯唯一の最愛だ。手を出すなら覚悟しろ」
財閥同士の政略結婚で離婚を迫られても、晴は冷笑した。
「彼女を失うくらいなら、財閥社会すべてを敵に回した方がましだ」
人々は皆、こう思っていた。
――御手洗夫人は、運だけで玉の輿に乗ったのだと。
だがある日、風見家本部が一面の薔薇の海に包まれ――
人々はようやく知ることになる。
この夫人こそ、本物の神であると。
そして御手洗晴は、とうの昔に陥落していた。
「彼女が玉の輿に乗ったんじゃない。――高嶺に手を伸ばしたのは、俺の方だ」