小料理屋を奪われ婚約破棄された私ですが老舗料亭の御曹司と結婚して女将をするので元婚約者が復縁を求めても門前払いです
柳アトム
恋愛現代恋愛
2025年12月24日
公開日
1,882字
連載中
商店街の一角。
通りの喧騒から一歩引いた「隠れ家」のような小料理店「割烹 いちかわ」。
婚約者の市川 颯真(いちかわ そうま)と店を切り盛りしていた西村 紬希(にしむら つむぎ)は、颯真から地味だと罵られ、婚約を破棄された上に、店から追い出されてしまう。
行き場を失った紬希を救ったのは老舗料亭の御曹司・高梨 海斗(たかなし かいと)だった。
海斗と老舗料亭を立て直した紬希は、名物女将として名を馳せるが、その名声を聞きつけて紬希を捨てた颯真が泣きついてくる。「割烹 いちかわ」は紬希がいなくなったことで店が傾き、存亡の危機に瀕していたのだ。
しかし紬希の颯真に対する愛想はとっくに尽き、紬希は颯真を冷たくあしらう。
だが、「割烹 いちかわ」は自分の祖父母が経営していた小さな定食屋をリニューアルしてオープンさせた店だった。
颯真はどうでもよいが、祖父母の思い出の詰まったお店を守りたい紬希は、商店街のかつての仲間と協力して「割烹 いちかわ」を守るために商店街に戻る。
商店街に戻った紬希の姿を、誰も地味だと蔑まない。
紬希の姿から見えるのは、派手さはないが、しなやかな忍耐力と芯の強さ、そして他人を気遣う真心を兼ね備えた頼れる女将の凛々しい姿だけだった。