12年寄り添った幼なじみに告白し、「友だち」と突き放され――決裂から3か月、彼は発狂して精神病院へ送られた
ゴブ吉
恋愛現代恋愛
2025年12月24日
公開日
2.5万字
連載中
橘柚希は、北川遥真を十二年間愛し続けていた。
希望の家での出会いから、東京タワーの下での告白まで――
十二年寄り添ってきた想いが、いつか「俺も好きだ」という一言に変わると信じていた。
花火大会の夜。花火が打ち上がる十秒前、
彼は優しい声でこう言った。
「柚希。俺たち、友だちだよな?」
彼女が贈ったのは、三万円の腕時計。
彼はそのまま背を向け、綾瀬先輩に三百万円のネックレスを贈った。
彼女は彼のために、すべての求愛を断った。彼は「俺は君には釣り合わない」と言いながら、彼女だけを待たせ続けた。
彼のせいで自傷したことがあるなんて、彼は一度も知らなかった。
そんな彼女の前に現れたのは――すべてを失った一人の男。
鷹見翼。
かつての財閥御曹司、今は修理工。
彼は言った。「君は、もっと大切にされるべきだ」
彼は覚えていた。彼女が抹茶チョコレートを好きなことも、暗闇が苦手なことも、彼女が口にしたすべての言葉を。
残業の日にはビルの下で待ち、理不尽に傷つけられれば、迷わず前に立ち、そしてまっすぐに言う。「俺は、君が好きだ」
やがて北川遥真は、鷹見家の“本当の御曹司”として名を取り戻し、十二年間、自分を待ち続けた少女を思い出す。
だが――彼女はもう、別の誰かの手を握っていた。そして微笑んで、こう言った。
「あなたの愛は、来るのが遅すぎたの」