浮気されて離婚した私、覆面歌手として声で立ち上がります
紅夜チャンプル
恋愛現代恋愛
2025年12月24日
公開日
5,496字
連載中
――その声を拾ったのは、一人の大人だった。
銀川グループ次期社長・銀川秀一(ぎんかわ しゅういち)と結婚した麻里亜(まりあ)は、常に「ふさわしい見た目」を求められ、自分の思いは後回しにしてきた。見た目、振る舞い、立場――すべては“誰かにどう見られるか”のため。
だが、夫の不倫をきっかけに離婚。肩書きも居場所も失った彼女は、誰かに見られることが前提の人生の中で、行き場を見失っていた。
そんな麻里亜を導いたのは、音楽プロデューサー・音咲凛太朗(おとざき りんたろう)との出会いだった。
彼から告げられた――「声だけは奪われない」という言葉が、麻里亜の背中を押す。
顔も名前も伏せ、覆面歌手・LINOとして配信を始めた彼女は、飾らない歌声で少しずつ支持を集めていく。
見た目ではなく、“声そのもの”が評価される場所で、麻里亜は初めて自分として立てていると感じていた。
しかし注目が集まるにつれ、彼女の過去を暴こうとする動きが現れる。元夫側から流された歪んだ記事は、麻里亜を「夢を優先して家庭を壊した女」として世間に印象づけていく。
沈黙を選べば守れるものもある――それでも彼女は、再び誰かの物語に利用されることを拒んだ。
やがて銀川グループ創業記念パーティに、LINOとして呼ばれた麻里亜。
覆面のまま歌声を響かせながら、彼女は逆転の一歩を踏み出す。
誰かに見せるための人生ではなく、
自分の声で生き直すために。
これは、見られるために生きてきた女性が、見た目を脱ぎ捨て、“聴かれる存在”として再生する物語。
声ひとつで人生の主役に立ち直る、静かな逆転劇。
※逆転ヒロイン大賞に応募しています。月〜金の夕方六時過ぎに更新しています。第二章以降は、コンテスト結果発表後に連載予定です。