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【極秘資料】呪詛行使者調査報告書 No.01-A
【極秘資料】呪詛行使者調査報告書 No.01-A
女性向けホラー&百合を書きたい人
ホラー都市伝説
2025年12月29日
公開日
6,281字
連載中
『離れるなんて、許さない』。 ――12月25日。聖夜の終わりに、私たちの『日常』は死んだ。作家の湊と、会社員の結衣。中学時代から続く8年の歳月は、いつしか愛を、慣れ合いという名の倦怠へと変えていた。そんな二人が拾ったのは、心中した双子の骨から成る呪遺物――『繭の対針(まゆのついばり)』。目覚めれば、胸骨の下に浮かび上がる痣。1メートル以上離れれば、内臓を引き裂くような激痛が走る。逃れる術はただ一つ。互いの皮膚の下へ、その「骨の針」を深く、深く、這わせるように刺し通すこと。「ねえ、結衣。……これで、もう誰も私たちを解けないね」痛みと共に流れ込む、かつての初々しい体温。狂気の陰に潜む、甘美な安堵。しかし、それは地獄の門に過ぎなかった。闇サイト『呪詛行使掲示板』。そこには呪物を手にし、異能の怪異を従えた「呪詛行使者」たちが、最後の一組になるまで呪い合うデスゲームが待ち受けていた。迫りくる他者の呪詛。剥き出しになる、二人の歪な執着。これは、社会から脱落し、針で繋がれた二人の女性が、世界で一番純粋な『心中』を完成させるための、血塗られた物語。――針を刺すたび、私たちは、一人の少女(肉塊)に近づいていく。

File No.01225:呪遺物『繭の対針』 ―― 皮下刺入儀礼

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