清茶
恋愛現代恋愛
2026年01月12日
公開日
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連載中
婚約の日、三年間愛し続けた婚約者に、生川遥香は捨てられた。
理由はただ一つ――末期の病に侵された初恋の女性に付き添うため。
真心を踏みにじられたのなら、もう執着はしない。
そう決めた彼女は踵を返し、T市第一の名門・如月家へ電話をかけた。
「……彼との結婚を、承諾します」
周囲は皆、彼女を狂っていると嘲笑した。
二年間も昏睡状態にある男に嫁ぐなんて、正気の沙汰ではないと。
元婚約者もまた、彼女はいずれ泣きながら自分の元へ戻ってくると信じ切っていた。
だが誰一人、予想していなかった。
結婚式当日、二年間眠り続けていたその男が、ゆっくりと目を開いたのだ。
世界中のメディアが見守る中、彼は彼女を抱き寄せ、静かに告げる。
「待たせてすまなかった」
その後、元婚約者の会社は倒産し、雨の中で跪いて許しを乞うことになる。
遥香は新婚の夫の腕を取り、艶やかに微笑んだ。
「――主人が言っています。
さっさと消えろ、って」