私は恋人鑑定師――男が浮気するかを試す女。けれど、この男が私を十年間待ち続けていたことを、私はまだ知らない
もふ羊
恋愛現代恋愛
2025年12月30日
公開日
2.9万字
連載中
冴島明里は、東京で最も優秀な恋人鑑定師だ。
彼女の仕事は至ってシンプル――標的に近づき、浮気をするかどうかを試し、その真実を依頼人に伝えること。
今回のターゲットは鷹取慎、25歳。
鷹取グループの後継者で、冷酷無情、女を替えるのは着替えるようなものだという噂の男。
依頼人は彼の恋人。報酬は300万円。
求められるのは、ただ一つの答え――彼は裏切るのか、それとも裏切らないのか。
明里は依頼を引き受け、彼に近づき始める。
フェンシング場での偶然の出会い、コンビニでの再会、深夜のバーでの邂逅……
そのすべてが、彼女の計画通りだった。
だが彼女は予想していなかった。
この男が、こんな言葉を口にすることを。
「君が俺に近づいたのには、目的があるだろう」
さらに――
「でも、気にしない。俺にも目的がある。君を手に入れることだ」
やがて明里の正体がネット上で暴かれ、世論が彼女を引き裂こうとしたとき、
彼は前に出て、こう言った。
「彼女は俺の恋人だ。過去なんてどうでもいい。
俺が欲しいのは、彼女の未来が俺の隣にあることだけだ」
母の死、学校からの処分、すべてを失い、誰も彼女のそばにいなくなったその時――
彼だけが、彼女に手を差し伸べた。
「これからは、俺が君の家族だ」