彼女の卵子、彼の精子、私の子宮ーー耳が聞こえるようになった日にはもう遅かった
みょん
恋愛結婚生活
2026年01月13日
公開日
5.2万字
連載中
私は七年間、彼を愛し続けた。
聴覚を失った私のために手話を覚え、優しく微笑む彼のために、三度も麻酔なしの採卵に耐えた。
お腹の中には、待望の双子が宿っている。
新しい人工内耳の調整が終わったその日、私は聞いてしまった。
「花音に代理出産させるのが一番いい。使ったのは若菜の卵子と俺の精子。花音は、ただの容器だ」
若菜――私の親友。 彼の本当の恋人。
お腹の子は、彼らの子供だった。
交通事故の日、炎上する車に私を置き去りにして、彼は彼女を抱いて走り去った。
顔に大火傷を負い、子供を失った私。
三年後、京都。
私は文化財修復師として、新しい人生を手に入れた。
そして彼は―― 車椅子に座り、私の前に現れた。
「花音、やり直せないか」
でも、もう遅い。
私の隣には、本当に私を愛してくれる人がいるから。