元カレは「一年付き合っても体を許さない」と私を捨てたが、三か月後、私は心臓外科の准教授と隠し結婚した
Hoshikonbu Mogu
恋愛結婚生活
2026年01月22日
公開日
2.7万字
連載中
柴田誠と一年間付き合ってきた水野綾音は、ずっと我慢していた。
彼の幼なじみが平気で彼の背中にしがみついて甘えることも、彼のグラスの酒を勝手に飲み、「私は誠の“兄弟”だから」と言い張ることも。
「兄弟」のために何度も約束を破られたことも、自分の誕生日に、彼が一晩中帰ってこなかったことも。
そして別れを告げた夜、彼は彼女を責め立てた。
「一年も付き合って、一度も体を許さなかっただろ?それって、俺のこと本気で好きじゃなかったってことだよな?」
綾音は何も言わず、背を向けて去った。
――けれど彼女は知らなかった。
あの時、病院で倒れた自分を介抱してくれた優しい医師が、
三か月後、自分にプロポーズしてくるなんて。
「あなたと一生を共にしたい。もう、答えは決まっています。」
こうして彼女は結婚した。
東京大学医学部附属病院、史上最年少で心臓外科の准教授となった――桐谷涼と。
ただし、教授選考という特殊な事情から、二人はしばらく“隠し結婚”を選んだ。
半年後。
「医者には釣り合わない女だ」という噂が、彼女の耳に届く。
夫の女性同僚が、二人の“怪しい関係”を吹聴して回っていることも知った。
――やっぱり、私は高望みだったのかもしれない。
そう思いかけたその時。
桐谷涼は病院全体を巻き込む記者会見を開いた。
「綾音は、私の妻です。そして、私が生涯をかけて愛する女性です。彼女を妻に迎えたことを、私は誇りに思っています。」
カメラの前で、彼は彼女にキスをした。
その瞬間、ネット中が水野綾音への羨望で溢れ返った。
そして――ニュース映像を呆然と見つめる柴田誠は、心の底から後悔することになるのだった。