出所後、使用人区画に戻って浪人し東大を目指していた私を、元カレの叔父である財閥会長が大切に匿した
酒井モモ
恋愛現代恋愛
2026年01月26日
公開日
3万字
連載中
彼女の名前は水無月澪。二十一歳。刑務所を出たばかりだった。
実家に戻ると、住まいは屋敷の使用人区画。空腹を抱えながら、浪人として大学受験の勉強を始めた。
周囲は皆言った。
――この人生はもう終わりだ、と。
だが、神代凌雅はそうは思わなかった。
三十四歳の財閥会長。庭先で初めて彼女を見た瞬間、心を奪われた。
空腹でも頭を下げない、その強情さ。
突き飛ばされても体勢を崩さない、その芯の強さ。
彼は、この少女を守ると決めた。
――そして。
彼は一般人の家主を装い、格安で部屋を貸した。
深夜、誰にも知られぬよう温かいミルクを用意した。
試験当日、桔梗の花を手に会場の外で待った。
彼女の前に立ちはだかる障害を、すべて影で取り除いた――決して彼女に悟らせることなく。
メモで想いを伝え、桜の下で想いを告げる。
密やかな守護から、堂々たる告白へ。
彼女は尋ねた。
「私、前科があるの。それでも本当に気にしないの?」
彼は静かに答えた。
「過去は関係ない。俺が大切にしているのは、今の君だ。」