双子なのに私だけ鯛焼きの尾っぽをもらった そんな私が出会った「歯車が可哀想だ」と言う不思議な少年
ひかね
恋愛スクールラブ
2026年02月27日
公開日
6.8万字
連載中
永遠に鯛焼きの尾っぽをもらう娘として、藤原弥生はすでに完璧な姉の影の中で生きることに慣れていた。
母の視線は姉にしか向けられず、父の期待も決して彼女に向けられることはなかった。彼女は人生がこういうものだと思っていた——静かで透明で、誰にも見られることなく。
それが、時計を修理する少年と公園のベンチで出会い、文化祭で自分の脚本を書き、先生から「観察者の温かさが感じられる」と評価されたその時まで。
母が他の人から贈られた花束のカードを見て初めて言葉を詰まらせ、姉が祝賀会で水をこぼし、ドアを叩きながら飛び出したとき——
藤原弥生はようやく理解した。ある王冠は、決して他の誰かの手の中にはないことを。
「私はとっくに自分の世界の主人公だった。」
そして、時計を修理する少年は卒業時に彼女に1.7秒速く進む懐中時計をプレゼントした。
「時間を少しだけ早く進めて、君と一緒にいる時間がもっと長くなるように。」