御曹司の弟の契約恋人を演じ月収五百万の私、昼は彼に勉強を教え夜はその兄である社長を囲っている
綿
恋愛現代恋愛
2026年03月02日
公開日
3.9万字
連載中
桜庭咲良。東大卒なのに即失業、口座残高が五千三百円になったそのとき、高校生から破格のオファーが届いた――月収五百万円、彼の契約恋人を演じてほしいという。
雇い主は神崎陽向。慶應に通う御曹司で、条件は三つ。勉強を教えること、悩みを聞くこと、そして身体的接触は禁止。
咲良は歯を食いしばってサインした。
どうせ坊ちゃんの恋人ごっこだ。この金額ならやるしかない。
昼は高額報酬をもらいながら、偏差値五十八の御曹司を六十五まで引き上げる鬼家庭教師。
夜は新宿の路地裏で出会った落ちぶれた美青年・楓の再起を信じ、給料の一部で支援するパトロン。
完璧な二重生活。稼ぐ仕事と、誰かを救う仕事。そう思っていた。
だがある日、陽向が盗撮写真を突きつける。
「どうして兄貴と一緒にいるんだよ?!」
目を赤くしての問い詰めだった。
そして雪の夜に口づけを交わした楓は、静かに変装を解く。現れたのは神崎グループの後継者、その人だった。
咲良は目の前のよく似た兄弟を見比べ、ようやく悟る。
「……つまり私、あなたの弟からもらった家庭教師代で、あなたを囲ってたってこと?」
その後、慶應の御曹司は彼女のためにゲームを断ち名門合格を目指し、神崎家の当主は調査報告書を焼き捨て、すべてを差し出すと言った。
そして咲良は新しい連載にこう綴る。
本当の契約は、荒唐無稽な誤解から始まり、互いを救う真心によって結ばれるのだと。