演技派女優にして百億円規模のテック新星――財閥御曹司の彼氏を振ったら、なぜか私が彼の会社の筆頭株主になっていた件
眠り人形
恋愛現代恋愛
2026年03月02日
公開日
5万字
連載中
私は八年かけて、不器用なりに「鈴木颯太の理想の女」になる方法を学んだ。
▶ 慈善ガラで、私のメイン席は彼の「永遠の初恋」に奪われた。
▶ 記者会見で、彼は私たちを「ただの友人」と定義した。
▶ 彼がくれた桜のブレスレットは、いつの間にか別の女の手首に。しかも、より大きなダイヤを添えて。
鈴木颯太は思っていた。
彼のそばを離れれば、上野千夏は何者でもないと。
最後の一課を教えてくれたのも彼だった。
名利の世界で、本気の愛ほど滑稽な装飾はないのだと。
――いいわ。lesson learned.
私はドレスを脱ぎ捨て、自分の戦場へ戻る。
カメラの前では演技派女優。
スクリーンの向こうでは、テック企業の創業者。
NHKのカメラが私の「二つの顔」を追い、東大の講堂が私のスピーチに沸き、ハリウッドが大型契約を差し出す頃――
かつて私の価値を定義した男は、自らが守り続けた古いルールに縛られ、経営危機へと追い込まれていた。
彼の一族が誇る中核事業は揺らぎ、取締役会で私の資本に頭を下げる。
私はサングラスを外し、静かに微笑む。
「鈴木専務。私の投資原則は――未来にしか投資しない。過去には、一円も出さないわ。」
第1話 チャリティーナイト、私の席は清純な初恋顔に奪われた