不妊で離婚したはずの私が、極道ボスと電撃婚して双子を妊娠しました
アーモンディ
恋愛結婚生活
2026年03月18日
公開日
3.2万字
連載中
結婚して三年、文香は体外受精を十四回も受けていた。十四回目、婦人科を出た彼女を待っていたのは、夫の労わりではなく、嵐のような叱責だった。
「五十万もかかったぞ。俺の金は空から降って来たとでも思ってるのか?」
かつて「俺の稼ぎは全部文香のものだ」と誓った幼なじみの彼は、今では彼女が生理用品を買うだけでも申請しなければ気が済まない。
やがて彼が別の女を抱き寄せ、ホテルに出入りする姿を目にしたとき、文香はようやく悟る。
――夫が倹約家なのではない。ただ、自分がその価値もないと思われていただけなのだと。
その夜、文香は重傷を負った男を拾い、家に連れ帰った。
彼女はすぐそのことを忘れた。ただ一刻も早く離婚し、これ以上不幸になりたくない。
だが彼女は知らなかった。
その男――東条蒼也と名乗る存在が、裏社会でその名を聞くだけで震え上がるほどの人物だということを。
そして彼を救ったその瞬間から、逃れられない運命へと引きずり込まれていることも。
蒼也は、文香が人前で離婚協議書を突きつけたとき、密かに撮られた不倫の証拠映像を差し出し、
彼女が脅されれば、何気ない顔で相手の企業を踏み潰し、
それがただの取引だと思っていた文香に、低く笑いながら耳元で囁く。
「文香先生、ただの偽装結婚だろ。そんなに警戒するな」
そしてある日、けちな元夫が土砂降りの中で復縁を懇願していた頃、文香は蒼也に腰を抱かれ、その腕の中で胎児の鼓動に耳を澄ませていた。
「いつからあいつと一緒にいたんだ!?」
元夫は目を赤くして問い詰める。
蒼也は口元を歪め、携帯を彼女の前に差し出す。
「さあ、教えてやれ。あの数千億の価値がある土地を、どうやって手に入れたのか」
画面に映し出されていたのは、かつて元夫と愛人がホテルに出入りしていた映像だった。
――すべては、あの夜から始まっていた。
蒼也の思惑の中で、すべては動いていたのだ。
彼が求めていたのは、命を救われた恩などではない。 最初から、彼女という存在そのものだった。
蒼也は片膝をつき、静かに告げる。
「文香先生、俺と結婚してくれ。残りの人生、俺が君の帰る場所になる。世界が終るまで、この誓いは決して変わらない」