目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
彼の初恋相手が「犬が怖い」と言った翌日、私の犬は死んだ。数億の借金まで返してあげたのに、私はあの女に勝てない
彼の初恋相手が「犬が怖い」と言った翌日、私の犬は死んだ。数億の借金まで返してあげたのに、私はあの女に勝てない
ゆで卵
恋愛結婚生活
2026年03月30日
公開日
2.9万字
連載中
七歳のあの年、知花茉白は新原悟に恋をした。 彼は他の人とは違う気がした。 なぜかはうまく言えない。ただ、そう感じたのだ。 それから二十年、茉白はずっと彼のそばにいた。 家が没落しようと、借金取りに家を囲まれようと、すべての人が去っていこうと。 彼女は彼の数億にのぼる借金を肩代わりし、婚約者という立場で、彼の生活を支え続けた。 彼が自分を愛してくれるとは、思ったことはなかった。 ただ、いつかきっと振り向いてくれると信じていた。 ある深夜、彼のスマートフォンに浮かび上がった一行の文字が、その二十年に終止符を打った。 「厄介なあいつには、自分から出て行くようにさせろ」 茉白は泣かなかった。 問い詰めもしなかった。 ただ暗闇の中で、足元に眠る小麦の頭を、静かに撫でた。 小麦は、かつて茉白をかばって借金取りに立ち向かい、後ろ足を折られた犬だった。 三ヶ月のリハビリの間、茉白は毎日寄り添って世話をした。 悟がその頭を撫でたのは、たった一度きりだった。 小麦が死んだのは、その三日後のこと。 理由はただ一つ――悟の初恋の人が、「犬が怖い」と一言口にしたからだった。

第1話 厄介者

loading