元夫は不倫、息子は五百円で母子の縁を買い取って愛人を新しい母に選んだ――私は元夫の宿敵の運命の妻になりました
パァン!
恋愛結婚生活
2026年04月02日
公開日
3.5万字
連載中
紗織は七年間、「完璧な高橋夫人」を演じてきた。
その代償は――
宴の席で夫に向けられた「邪魔だ」という冷たい一言。
義母から突きつけられた、小切手一枚で母と子の未来を切り売りするような屈辱。
そして実の息子・高橋悠人から差し出された五百円玉。
「これあげる。だから、もう二度と戻ってこないで」
彼女はその硬貨を受け取り、完全に姿を消した。
――そして。
アトリエで再び筆を取った彼女の前に現れたのは、一条グループの後継者・一条颯太。
メディアは彼女を「名家に取り入ろうとする計算高い元妻」と嘲笑した。
だが彼はそれを一蹴し、公開配信で堂々と彼女への想いを告げ、さらに商業上の不正を突いて高橋家を追い詰めた。
前夫はオークションで彼女の絵を狂ったように競り上げ、関係の修復を図ろうとした。
だが彼女はその場で宣言する。
「この作品は非売品です――贈るのは、私の愛する人だけ」
そう言って名を呼んだのは、一条颯太だった。
かつて彼女を捨てた息子は、全教科満点の成績表を握りしめ、震えながら彼女の前に立つ。
だが彼女はただ静かに一歩引き、距離を置いたまま言った。
「……高橋くん」
やがて、彼女の個展はパリへと巡回する。
桜の咲く京都の邸宅で、颯太は背後からそっと彼女を抱き寄せ、手のひらをわずかにふくらんだお腹に重ねる。
そして低く優しい声で、二人の未来に与える名前について、静かに語りかけた。