捨てられた転生令嬢~前世で私を高速道路に置き去りにし「贖罪してこい」と言い放ったあの男のもとへ、今世は戻らない
ゆいぽん
恋愛結婚生活
2026年04月07日
公開日
3.2万字
連載中
26歳で死んだ。
原因は、深夜の高速道路の路肩に捨てられたことだった。
最後に聞いたのは、夫の車が遠ざかっていくエンジン音。
最後に見たのは、足元の白い路肩のライン。
26年間、ただひたすら誰かに選ばれるのを待つだけの人生は、こうしてあっけなく幕を閉じた。
――だが、終わりではなかった。
気がつくと、6歳の朝に戻っていた。
養護施設「ひまわりの家」、天井の水染みまで覚えているあの部屋。
前世の記憶をすべて持ったまま、もう一度やり直せる朝を迎えた。
やるべきことは、もう決まっている。
蓮井家の養子縁組を断ること。
あの家が何をするか、結花は26年分の記憶で知り尽くしている。
優しく微笑む養母、無口な養父、そして将来「償ってこい」と言い、深夜の高速道路に彼女を置き去りにしたあの少年――
その全員の顔を、彼女ははっきりと覚えている。
断る方法は簡単だ。
大声で騒ぐ必要も、嘘をつく必要もない。
ただ「選ばれる価値がない子供」を演じればいい。
26年の観察経験があれば、この程度は難しくない。
問題は、その後どうするかだ。
蓮井家を断った後、別の家庭が現れた――御厨家。
優しい母、堅実な父、そして無表情で彼女の数学の間違いを指摘する10歳の少年。
なぜか結花は、この少年に妙な既視感を覚えた。
前世ではほとんど関わりがなかったはずなのに、死の間際の暗闇の中で、最後に浮かんだのがこの少年の名前だったのだ。
理由はわからない。
だが、その感覚を信じることにした。
「御厨家に行きたい」――
それは、6歳の結花が初めて自分の意志で口にした言葉だった。
前世では、ただ選ばれるのを待つだけだった。
この人生では、自分で選ぶ。
家族も、居場所も、これからの人生も――すべて、自分の手で掴み取るのだ。