幼なじみ二十年、北条グループ社長に「相手にする価値もない」と公言された私――三ヶ月後、彼は私の家の前で土下座した
紙月しづ
恋愛現代恋愛
2026年04月13日
公開日
2.8万字
連載中
北条グループの社長は言った。
「久我莉緒みたいな女を本気で相手にするなんて、面倒を背負い込むだけだ」
――そのあと。
彼は彼女の家の前で四十分待ち、扉の外で拒まれた。
彼女が美術館を開けば、法務書類は先回りして整えられ、ネットで中傷されれば、その日のうちに発信元が特定される。
そして彼女が、あの時の言葉は本心だったのかと問えば――
彼は言った。「その後のことは、本気だ」
久我莉緒。
久我家の令嬢、二十四歳。
手足は年中冷たくて、誰よりも口が強くて、誰にも頼ろうとしない。
京都から戻ってきた彼女は、二年分の画力と美術館を開く計画を携え、ついでに北条誠一郎との積年の因縁も持ち帰ってきた。
二人は二十年、言い争い続けてきた。
彼は、その二十年のすべてを覚えている。
彼女が飲むコーヒー、好きなスイーツの店、どちらの手でどちらの手をこするか――それは冷えているときの癖で、追い詰められると、深夜までアトリエにこもることも。
彼女は彼を呼び止めて聞いた。
「どうして、あの会議室を出て私のところに来たの?」
彼は答えた。
「君だからだ」