目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
構造計算の上の愛——振幅がどれほど大きくても、あなたの重心から逃れられない
構造計算の上の愛——振幅がどれほど大きくても、あなたの重心から逃れられない
片栗粉
恋愛現代恋愛
2026年04月14日
公開日
2.4万字
連載中
斎藤静也の支配欲は、あらゆる細部にまで染み込んでいる。彼は蛍に排他的な近隣住民からの騒音クレームを一人で対処させ、理不尽に責められる彼女を車内から冷ややかに観察し、批評するだけだった。 さらに彼女を構造実験室へ連れて行き、振動数を人体の限界近くまで引き上げる。眩暈に襲われ、崩れ落ちる彼女の様子を見つめながら、それすらも「彼女の重心はすでに自分に固定されている」ことの証明として扱った。 だが蛍は、その圧迫の中で驚くほどの速さで成長していく。静也が超高層開発業者との攻防の中、聴聞会で倫理的な非難に押され一瞬言葉を失ったとき、蛍は傍聴席から立ち上がった。 彼女はマイクを取り、静也から教え込まれた「斜線規制」の知識を駆使し、相手の施工誤差を正確なデータで突き崩す。一撃で形勢は逆転した。 スポットライトの下で鋭さを放つ彼女を見つめながら、静也の瞳には驚嘆と独占欲が交錯する。 その夜、彼は長年彼女を縛っていた契約書を焼き捨て、事務所の代表印を彼女の前に差し出した。 「君は俺のパートナーであり、そして俺の最高の“刺客”だ。」 その瞬間から、彼女はもはや駒ではない。刃を握る者となったのだ。

第1話 傾いた五センチの借地

loading