結婚式当日、白無垢の令嬢が夫に「駆け落ちしない?」と迫るも夫は「君、誰?」と大困惑――虐恋かと思った?いいえ、溺愛です!
味玉。
恋愛結婚生活
2026年04月17日
公開日
3.5万字
連載中
結婚式の最中、白無垢の女が涙ぐみながら私の夫・碧人に問いかけた。
「私と一緒に行ってくれる?」
――ああ、来た。遅れてやってきた王道の修羅場。
そう心の中でため息をついた、そのとき。
隣にいた碧人が、会場中に響くほどはっきりと、困惑した声で言い返した。
「君、誰?俺、全然知らないんだけど」
その後も、その女は引き下がらなかった。
町内会では私が“計算高い女”だと噂を流されると、碧人は発信源に真正面から告げる。
「謝罪するか、それとも弁護士と話すか、どっちだ」
商売敵がレシピを盗めば、彼は人前で監視映像を流し、冷ややかに笑った。
「これが御社の“独自開発”ですか?」
誰もが言う。京都・栗原家の若き当主は冷静沈着、寡黙で隙がないと。
――でも私は知っている。彼が本気で毒舌になると、死人すら蘇りそうなほど容赦がないことを。
そしてその“容赦のなさ”はすべて、私の周りに誰も踏み込めない境界線を引くために使われていることを。
最近の彼の一番多い不満はこれだ。
「このかぼちゃペースト、甘さが足りないな……お前、ほんと手がかかる」
言われているのは――一歳になったばかりの、私たちの息子。