彼氏が偽の難病をでっち上げた腹黒幼なじみにそそのかされ、記憶喪失のフリで私の愛か金かを試してきた――じゃあ義姉になるね!
TWT
恋愛現代恋愛
2026年04月22日
公開日
3.1万字
連載中
恋人・五十嵐輝の「交通事故による記憶喪失」が、幼なじみと共謀した“愛か金か”を試すための芝居だったと知ったとき、小早川瑠璃の心は完全に冷え切った。
二年間の想いは、“真実の愛”を測るための滑稽な実験に過ぎなかったのだ。
彼女は優しさの仮面を外し、くるりと背を向けると、隣にいた“最もあり得ない男”の腕を取った。
――輝の兄であり、グループの後継者、五十嵐暁。
微笑みながら、彼女は告げる。
「ご紹介します。私、あなたのお兄さんの婚約者です。――これからは“お義姉さん”って呼んでね」
復讐と利害から始まった、契約結婚。
彼女は完璧な婚約者を演じ、彼は地位と庇護を与える。
学内で噂に晒されれば、彼は公然と現れ、彼女の手を取り宣言する。
「彼女は俺の婚約者だ。中傷するなら、弁護士を通してもらおう」
一族の長老たちに詰め寄られても、彼は静かに彼女を背後へ庇った。
――だが、演技はやがて境界を曖昧にしていく。
廊下で不意に引き寄せられる腕の熱。
雨の夜、肩に掛けられた上着のぬくもり。
そして、家の女主人にのみ受け継がれる指輪が、彼の手によって彼女の指に嵌められたとき――
瑠璃はようやく思い出す。
この関係は、あくまで“偽り”のはずだったことを。
――この偽りの恋は、いったいどこへ向かうのか。