夫の元カノに妊娠検査書を突き付けられ離婚を迫られ、仕方なく同意した~でも夫の全財産と口座のパスワードは、私の誕生日だった
K恋愛書かない
恋愛結婚生活
2026年04月23日
公開日
2.8万字
連載中
結婚三か月目、霜村真昼は玄関で一通の手渡しの手紙を受け取った。
柚月鈴奈――芸能界の若手女優で、曉人君の元恋人。
封筒の中には一行だけ書かれていた。「近日、訪問します。よろしくお願いします。」
彼女はやって来た。マンションのリビングに立ち、キッチンの調味料棚を見回す。
「イタリアンの調味料、一つもないわね。曉人君、昔はイタリアンが好きだったのに」
真昼は客にお茶を注ぎ、カップの持ち手を右に向けた。
柚月が二度目に訪れたのは、仕事を理由に会社の下のカフェでのこと。
三度目は、週刊誌に駐車場での写真が掲載され、「妊娠六週、父親は二階堂副社長」と見出しが付けられた。
匿名で送られてきた妊娠検査結果のコピーには、端にボールペンで一行だけ書かれていた。「どうすべきか、わかっているでしょう」
真昼は妊娠検査結果を折りたたみ、封筒に戻し、画面上の支出明細表を確認し続けた。
カーソルを動かし、数字を入力する。
彼女は、契約が結ばれた日に彼が言った言葉を覚えている。
「離婚するかどうか、いつするかは、俺が決める」
真昼は頷き、「わかりました」と答えた。それは、まるで仕事の条件を受け入れるかのように。
彼女が知らないのは――
柚月が初めて訪れた日から彼は録音を開始していたこと。
駐車場の写真の三枚目、彼の手が柚月の上腕を外に押し出している瞬間が写っていたこと。
弁護士確認書の日付は、彼女が「三日くれ」と言った後、彼が徹夜で完成させた最後の法律的確認だったこと。
さらに知らないのは、食卓の上の手書き誓約書の証人欄に、すでに牧瀬と杏子の名前が署名されていること。
彼は朝の光の中、味噌汁をすくいながら頭を下げ、耳を赤くし、彼女を見られずにいた。
「あなたが署名しようとしまいと、離婚は進めない。だから――好きにしなさい」