婚約者に85点をつけられた私は、豪門の婚約を破棄して唐紙界の宝に——隣の陶芸見習いがまさかの超大財閥の跡取り!?
雪福もちこ
恋愛現代恋愛
2026年05月06日
公開日
3.4万字
連載中
未婚の朝倉家から届いた「結婚候補者総合評価表」を目にした有栖川絵麻は、自分が誰もが羨む婚約を手に入れた理由が、「家庭適性」の項目で85点を取ったからに過ぎないと知る。
彼女は百年続く唐紙工房「桐鳳堂」の若き女性家元。しかし、朝倉家にとって彼女は、亡き師の最適な「代替品」にすぎなかった。姓を変え、夫を支え、夫の“夏花のような愛人”には黙って従う――完璧な妻としての人生を期待されていたのだ。
工房が倒産寸前に追い込まれ、唯一信頼していた師匠が秘伝の技法を持ち去ると、朝倉家は「結婚と引き換えに資金提供」の“最後通告”を突きつける。絵麻は空っぽの工房で、師の遺影に向かって崩れるように泣いた。
だが、いつも笑顔で道具を借りに来る、泥まみれの隣人陶芸見習い・森川陽太は、黙って彼女にコートをかけ、星河のように輝く釉薬の陶皿を差し出した。後に彼女は知る――その「見習い」は、朝倉家にも匹敵するトップ陶磁器一族の跡取りだったのだ。
彼は絵麻を見つめ、灼けるような瞳で言った。
「有栖川絵麻、君の価値は、一枚の紙では決まらない。」