恋愛ゲームに入り込んだら、転生した悪役ヒロインに乗っ取られ、現実ではカフェを開いたら亡き元カレを拾った
午後三時
恋愛現代恋愛
2026年05月07日
公開日
3.6万字
連載中
早川優月は恋愛ゲーム『冬の鐘』に入り込み、任務は陰鬱な同級生・上野松を救うことだった。
三か月、真面目に取り組んだ結果、進捗はわずか15%。
しかし、学園のアイドル・松島林奈が突如、重生して現れ、公開で熱烈な告白を繰り広げ、優月の任務を強制的に奪取。
優月の権限はシステムによって瞬時に“観察者”に格下げされ――ただ冷静に見守り、“死亡”で脱落するしかなかった。
その結果、優月は松島が贈り物や噂で優しさの網を編む様子を目の当たりにし、
自分が盗みの濡れ衣を着せられ、体育倉庫に閉じ込められ、雨の夜に決して受け取れない傘を差し出される場面を黙って記録した。
心は静かに澄み渡り、火災が自分を奪い去るその瞬間を待つのみ。
しかし、現実世界の小さなカフェで、再び彼と出会う――
重要な瞬間にコートを差し出し、証拠を見せ、低く叱咤して「一緒に行こう」と言った転校生。
彼は蒼白な顔で、一本の古い鍵を差し出す。
「貯金すべてで、君の隣の店を買った」
やがて、重生女配が現実に狂気じみた嫌がらせを仕掛けても、彼は冷静に相手の仮釈放官の名前を報告し、追い払った。
そして、彼女が長年の遅すぎる絶筆を焼き払うときも、彼は静かに背後で守っていた。
上司は告げる――「縁契を結べば、彼の魂が君と共に生き、この世界を錨にする」と。
彼は片膝をつき、差し出したのは指輪ではなく、隣の店舗の鍵だった。
「君は、これから毎日、僕にコーヒーを淹れさせてくれるか?」
彼女は鍵を受け取り、微笑む。
「試用期間、一生分ね」