花団子
恋愛現代恋愛
2026年05月08日
公開日
3.8万字
連載中
あの夜、神秘的な電話が鳴った瞬間、藤原真琴の世界は崩れ落ちた。電話の主は、重病の母の安否を人質に取り、彼女に「三好蒼」という名の見知らぬ男に近づき、ある書類を奪うよう命じた。同時に、トップ弁護士・三好蒼の机の上には、真琴が盗撮された写真と、「調査をやめなければ、お前の父親のように消える」という脅迫文が置かれていた。
それぞれが大切な人の真実と安全を守るため、二人の見知らぬ男女は真夜中の書斎で、一年限定の冷徹な結婚契約書に署名した。約束は同盟に過ぎず、期限は一年。彼女は彼の世界で「幸福な婚約者」を演じることを強いられ、彼の家族や想い人たちの悪意ある視線と羞恥に耐えなければならなかった。調査が核心に迫ると、ブレーキの効かない事件や、証人たちの「事故死」が次々と影を落とす。
それはただ、生き延びるための演技だと思っていた──だが、生死の境で、常に冷静沈着な男は彼女を死守し、血に染まった指で彼女の顔を包み、かすれ声で言った。「お前は俺の共犯で、俺の世界のすべてだ。誰にもお前を奪わせはしない。」
利用から溺愛へ、契約から深情へ。すべての塵が落ちたとき、彼が差し出したのはもはや契約ではなく、二人の名前が刻まれた指輪だった。「さあ、今度は愛し合う名のもとに、もう一度俺と結婚してくれ。」