Elara
恋愛現代恋愛
2026年05月15日
公開日
9,490字
連載中
黒道の義兄に嫁いで三年目──汐里は、五十九度目の逃亡に失敗した。
彼は東南アジア裏社会の王で、父が救った義兄であり、今では彼女の夫でもある。
汐里は思っていた。彼が自分と結婚したのは、ただの恩返しのためだと。
だが、ずっと想いを寄せていた奏介が、妹と密通している現場を目撃した瞬間、汐里は知った――誰が人で、誰が鬼なのかを。
彼女は甘えない。泣き叫ばない。誰かが助けに来るのを待ったりもしない。
自ら罠を仕掛け、網を張り、クズ男を跪かせて借りを返させる。
すべて、自分の手で。
そんな汐里に、ずっと避けてきた黒道の義兄、千秋が手を差し伸べる──彼女の刃と盾となった。
「その資料、俺が渡す。」
「でも……彼が欲しいのは、命じゃないの?」
「汐里、俺が本当に恩返しをしていると思うか?ずっと愛してきたのはお前だけだ。」
誰も知らない――
皆は彼女を千秋に甘やかされた“鳥籠のカナリア”だと言うけれど、
千秋だけが知っている――
ずっと愛している彼女は、自ら翼を生やしたと。