mozato
恋愛現代恋愛
2026年05月14日
公開日
4.2万字
連載中
年に一度の「互いの利益のための結婚」は、林千夏が絶望から脱するための取引だった。
彼女は契約を胸に、「鷹司夫人」を演じ続ける。しかし、嵐は止まらない。
家族の宴では、従兄に「林家も落ちぶれたものね」と嘲笑され、
銀座での接待では、取引先に酒の勢いを借りて執拗に試され、
さらには夫の商戦の敵から、直接的な嫌がらせを受ける――。
ある日、誘拐の危機に一人で立ち向かい、合気道で二人の手下を倒したものの、裏切りに遭った千夏。
その時、常に冷徹で距離を置いていた夫・鷹司凌空が、かつてない激昂の姿で現れる。
彼はすべての脅威を粉砕し、家族会議で公然と彼女を「共同経営者」かつ「未来の女主人」と宣言し、疑う者たちの顔を踏みにじった。
かつて、彼が千夏に差し出したのは、署名を求める契約書だけだった。
しかし今、彼は画廊の全所有権、緊急事態での代理権、そして鷹司家代々の真珠の指輪を手渡す。
冷たい契約は破り捨て、彼は自らの全ての真心と権力を彼女に捧げた。
「僕の世界はかつて冬だけだった――」
彼は二人で整えた画室の中央に、千夏が完成させた絵を飾り、背後から彼女を抱きしめて囁く。
「ありがとう。僕の唯一の光になってくれて。」