HARA MIMI
恋愛現代恋愛
2026年05月18日
公開日
3.4万字
連載中
花房鈴にとって、松雪蒼真は二面性を持つ人物だった。ひとりは、かつて夢を冷たく否定した少年。もうひとりは、再会後、仕事と生活に強引に介入する甲方の社長。
彼は古い品物を返し、さりげなく気遣いを示す一方、公の場では距離を線引きする。その矛盾に鈴は戸惑うが、嵐が訪れるまで理由を知らなかった。取締役会での難題には全会議記録とデータで彼女を擁護し、個人の名誉と家族の信用をかけて保証する。家族の縁談圧力には「仕事の会議」を理由に欠席し、母の怒りをひとりで受け止めた。悪意ある攻撃には、百年家族の力で道を切り開く。
京都の古い町屋では、初めて重荷を下ろし、家業を継ぐ疲労を見せた。温泉庭園では無言で茶を差し出し、月光を分かち合う。婚前契約は彼女の事業と人格の絶対独立を守るためのもの。「絆」図書館の礎石式で彼は公然と認めた──「この建物の始まりは、かつて誤解した才能と、遅すぎた謝罪からだ」と。