夫を捨て、子を連れ去った――そして、冷徹社長は東京中を追いかけてくる
明月香
恋愛現代恋愛
2026年05月19日
公開日
5万字
連載中
弟を救うため、花沢鈴は自身の五年間を犠牲にし、京都の名門・高嶺家の契約妻となった。
宗一郎は彼女に豊かさを与えた。しかし、その手には冷たい距離感もあった。鈴は完璧に演じたが、心は次第に冷えていく。契約が終わり、誰にも知られぬ秘密を抱えて、静かに去った。
四年後、東京の街角で再会する。
彼は高みから投資の世界を支配する男。彼女は生計のために奔走する小さな会社員。
その時、彼は驚く――彼女のそばには、自分とそっくりな小さな影があったのだ。
怒り、問い詰め、誤解――感情は連鎖する。
しかし、彼女が残した当時のメモや、震える声で語る、ひとりで子を育ててきた日々を知った瞬間、すべての感情は圧倒的な愛情と後悔に変わる。
彼は不器用ながらも近づこうとする。
彼女が困った時は守り、仕事中は静かに寄り添い、ひとりの父として努力する。家族の問題を整理し、外部の圧力に立ち向かい、彼女と息子に清らかで安定した未来を届けようとする。
疑いから信頼へ、傷から癒しへ――二つの凍った心は、亀裂を越えて再び近づく。
「時間をくれ。すべての汚れを取り除く。そして、もう一度、君と怜を知るチャンスをくれ」
やがて、京都の桜吹雪が舞う頃。
再び彼は彼女の指に指輪をはめ、柔らかな眼差しで囁く。
「俺の視線は、永遠に君だけに向ける」
彼女は肩に寄り添い、満天の星を見上げる――心にあるのはただ、完全な幸せだけ。