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アイドルの彼は“恋愛禁止イメージ”が必要だと言ったので、私は辞職して“国民的元カノ”になってやった
アイドルの彼は“恋愛禁止イメージ”が必要だと言ったので、私は辞職して“国民的元カノ”になってやった
Kyarameru Neko
恋愛現代恋愛
2026年05月29日
公開日
3.7万字
連載中
佐久間美咲は、五十嵐致のそばに三年間いた。 彼が練習生からデビュー直前まで駆け上がる、そのすべてを支えてきた。 北海道の雪原。 彼はスポンサー令嬢にカイロを差し出し、 その直後、上着を抱えて待っていた美咲に向かって吐き捨てた。 「仕事の邪魔するな」 祝賀会のバックステージ。 彼はマネージャーに、まるでどうでもいい話のように笑った。 「美咲みたいな普通の女ってさ、“優しくする練習”にはちょうどいいんだよ」 そして赤坂の居酒屋。 令嬢が美咲へ日本酒を浴びせた瞬間、 彼が最初に庇ったのは相手の方だった。 冷たい声で、美咲を“先輩”と呼びながら。 三年間の想いは、 全部、彼の“完璧なアイドル像”を磨くための練習台だった。 だから美咲は、静かに酒を拭き取り、辞表を渡した。 連絡先をすべてブロックし、跡形もなく消えた。 その後―― 彼は生配信で感情を抑えきれず、 全国へ向けて、涙声で彼女の名前を叫ぶ。 さらに後日。 彼は、美咲がアルバイトするコンビニの前にしゃがみ込み、 無精ひげだらけの姿で呟いた。 「全部失ったんだ……」 だが美咲は、ただ静かに彼を見つめ、 かつて彼を救うため渡した送金明細を、その場で破り捨てた。 「これで、全部終わりです」 ――そして。 ある日から、鎌倉の古着屋の前に、 手作りの梅おにぎりが毎日ひとつ置かれるようになる。 添えられた小さな紙には、 来る日も来る日も、同じ言葉だけ。 「ありがとう」

第1話 彼女はただの練習台

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