婚約者に裏切られたので、植物状態の叔父と結婚したら、昏睡のはずの夫に溺愛されています
オーロラ
恋愛S彼・俺様
2026年06月04日
公開日
9,234字
連載中
「彼女と結婚するのは、ただの隠れ蓑だ」
婚約披露宴の最中、悠花は婚約者・桐山修司が家政婦の娘である伊尾羽衣を抱き寄せながらそう言い放つ姿を目撃してしまう。
長年捧げてきた想いは、すべて思い違いだった。
泣きわめく代わりに、悠花は壇上へと歩み出た。
そして、皆の前で宣言する。
――私が結婚するのは、修司ではありません。相手は修司の叔父であり、桐山家当主の桐山直紀。
だが彼は現在、事故によって意識不明のまま眠り続ける“植物状態”の男だった。
誰もが悠花を正気ではないと思った。
生きたまま未亡人になるようなものだと。
けれど誰も知らない。
結婚後、屋敷で直紀の世話をしていたある夜――。
彼女の指先が触れた瞬間、眠り続けるはずの男の指がわずかに動き、頬が赤く染まったことを。
そしてもう一つの秘密を。桐山直紀は、本当は眠ってなどいない。
やがて修司は過ちに気づき、悠花のもとへ戻ってくる。
「悠花……頼む。もう一度やり直したい。俺が愛しているのは君だけなんだ」
そんな言葉に、悠花は冷たく笑った。
「あなたが愛しているのは私じゃない。桐山家の財産でしょう?」
「じゃ、植物状態の男と一生を過ごすつもりか? 俺のほうが幸せにできる」
「少なくとも彼は、愛を口にしながら他の女を膝に乗せたりしないわ」
だがある日――。
眠っているはずの夫の秘密に気づき始めた悠花は、ついに彼を追い詰める。
「……もう隠しきれないな」
そう呟いた直紀は彼女を抱き寄せ、低く微笑んだ。
「これからは好きなように生きればいい。何があっても、俺が守る」
眠る当主と契約結婚したはずが、待っていたのは甘く独占的な溺愛生活だった――。