三十歳で契約が切れた私は、振り向きざまに隠れ大物へ嫁いだ
LAN
恋愛現代恋愛
2026年05月29日
公開日
3.2万字
連載中
七年もの青春を費やし、「三十歳になったら結婚しよう」という約束を信じ続けた早川光。
けれど、藤原清司から返ってきたのは、いつだって曖昧な言葉だけだった。
父が救急室で生死を彷徨っている夜、
彼は幼なじみの女性と初雪を眺めていた。
しかも、甘い誘い文句のメッセージを誤送信する始末。
別の女の名前が刻まれたネックレス。
彼のスケジュール帳に記された、光の誕生日は味気ないシステム通知だけ。
実家の旅館が倒産寸前になり、深夜に助けを求めても返ってきたのは、
“白月光”の絵画と同じ額の送金――備考欄には「緊急用」。
三十歳の誕生日。
心を込めて用意した食事は冷え切り、帰ってきたのは酔い潰れた彼と、
「そんな約束、冗談だろ」の一言だった。
――その瞬間、光の心は完全に冷めた。
彼女は迷いなく去る。
そして現れたのが、新進気鋭の実業家・桜庭透。
彼は、光の理念を尊重した正式な契約書を携えていた。
その時になって初めて、藤原清司は彼女の本当の価値に気づく。
雨の夜、惨めに縋りつきながら復縁を願う彼に、光はただ静かに背を向けた。
彼女の行く先には、ずっと前から傘を差し出して待っていた男がいたから。
そして後日――
大勢の祝福の中、桜庭透は彼女の手を握り、穏やかに告げる。
「俺たちの契約は、条項が一つだけだ。――永久有効であること」