行き場を失って契約妻に応募したら、雇い主は最強の財閥当主だった
千鶴owo
恋愛現代恋愛
2026年06月03日
公開日
3.4万字
連載中
月野雪は、離婚したその日に結婚も住む場所も、そして最後の尊厳さえ失った。
元夫からの侮辱的なメッセージがスマートフォンの画面に表示され続ける中、無一文となった彼女はネットカフェの狭い個室で身を縮めていた。
そんな絶望の中で見つけたのが、一通の怪しげな「契約妻募集」の広告だった。
それは、雪が必死に掴んだ最後の希望だった。
面接会場は都心の超高層タワー最上階。
そして彼女を待っていた雇い主は、経済ニュースでしか見ることのない存在――一条家の当主・輝だった。
契約期間は三年。
妻を演じること。
家族への対応をすること。
そして、ある出来事が原因で言葉を失った彼の息子の世話をすること。
雪は冷たい契約書にサインし、「一条雪」という新しい名前を与えられる。
豪華でありながらどこか温もりのない屋敷へ移り住み、互いの利益のためだけに結ばれた契約結婚の“完璧な妻”を演じ始めた。
だが、過去の傷は簡単には消えない。
元夫の執着。
名門一条家から向けられる厳しい視線。
そして、契約では説明できない感情が少しずつ芽生え始める。
人生のどん底から始まったこの契約は、彼女をどこへ連れていくのだろうか。
そして、いつも冷静で感情を見せない一条輝の深い瞳の奥に――
いつか自分の居場所を見つけることはできるのだろうか。