狂ったように私を愛した幼なじみは、やがて私が支援した少女に星空の名を捧げた
星 ひとつまみ
恋愛現代恋愛
2026年06月08日
公開日
3.9万字
連載中
京都の茶室を別の女性の名で呼ばせたのは、結婚三年目の清川透だった。
彼はそれを「初雪のように丁寧に守るべき美」と称賛した。そして、私はその妻として正式に嫁いでいたはずなのに、テレビでのインタビューを通して知ったのは、彼の「芸術」の世界に私の存在は端にも及ばないという現実だった。
流産後、彼は弁護士を通して離婚契約書を持参した。彼はその茶道の“ミューズ”と結婚するために、私を遠ざけたのだ。
七年後、私は家業を継ぎ、和菓子店「月咲」の女将として活躍していた。私の作る菓子は東京で少しずつ知られるようになり、老舗料亭の後継者・橘隼人と婚約することになった。
ある予想外の再会で、清川透は私を、隼人がそばで丁寧に守る姿を目にする。彼は名刺を差し出し、乾いた声で尋ねた。
「……私たち、協力について話せませんか?」
私は婚約者の腕をしっかり握り、清川に礼儀正しく頷く。
「申し訳ありません、清川さん。私と夫は、今、結婚式の準備で忙しいのです」