結婚初夜に「好きな人がいる」と告げられました――七年の片想いの末に離婚届を差し出したら、夫が壊れ始めました
甘煎ひめ
恋愛結婚生活
2026年06月15日
公開日
1.8万字
連載中
榊原拓海は新婚初夜に私へ告げた。
「好きな人がいる。二年後には、この結婚は解消するつもりだ」
私は静かに頷いた。泣きもせず、問い返しもしなかった。
なぜなら彼への想いは、最初から私だけの片想いだったから。
七年続いた、報われない恋だった。
それでも、彼のそばにいられればそれでいいと思っていた。
――あの瞬間までは。
吉沢栞の母親の手術はすぐに手配された。
だが私の父が倒れたとき、彼の言葉は「ちょっと聞いてみる」だった。
栞のために選ぶ贈り物のときだけ、彼の目は優しかった。
そしてクリスマスイブに渡されたワンピースは、タグが付いたままだった。
彼は、私のサイズさえ知らなかった。
その夜、私は署名済みの離婚届を大晦日の和室に置いた。
そして言った。
「新年おめでとうございます、拓海さん」
彼は初めて動揺した。
けれど、もう遅い。
あの銀杏のしおりを、私は七年間捨てずに持ち続けていた。
そして――もう待つことをやめた。
彼がそれを知るのは、私がいなくなった後だった。