~拝啓、私を捨てた人たちへ~全てを奪われた私は、路地裏の純喫茶マスターと世界一のスイーツを作ります
フクロウ
恋愛現代恋愛
2026年06月16日
公開日
8,328字
連載中
大手コンビニ「デイリーワン」のスイーツ企画部で瀬川葉は、5年間必死に働いてきた。
手軽に、安く、誰もが好む味。昔からお菓子作りが好きだった葉は、大ヒットとまではいかないものの幅広く商品を手掛けてきた。そして、2年かけて温めた「純喫茶クリームソーダプリン」の企画が、ようやく形になりかけたそのとき——会議のテーブルに出された名前は自分ではなく部長の名前だった。
抵抗虚しく、葉は企画部を外されて営業部へと配置転換。付き合っていた同僚からも「昇進に響く」という理由だけで別れを告げられ、仕事も恋も同時に失う。
今までの全てを否定され、奪われた雨の夜、びしょ濡れのまま葉は路地裏の小さな純喫茶に迷い込んだ。
<珈琲 黒澤>
誰一人客のいない店舗でカップを拭くのは、年上の無愛想な男だった。男は、ただ黙ってコーヒーを出す。
瀬川葉の人生は、コーヒー一杯で変わった。
「ここで、雇わせて」
「コンビニのスイーツで、人の心は動かせない」
「証明してみせる。私が決めたことだから」
珈琲職人の純喫茶マスターと元スイーツ企画部員。凸凹な二人が、路地裏の小さな店から世界一のスイーツを作り上げるまでの、甘くて苦い逆転劇が始まる。