結婚四年、完璧な妻だと思われていた私――夫に誕生日すら忘れられたので、彼の子を身ごもったままパリへ消えた
Miruku
恋愛結婚生活
2026年06月22日
公開日
3.2万字
連載中
結婚して四年。
私は、他人の口から夫がすでに三日前に帰国していたことを知った。
神崎家で最も“体裁のいい嫁”として扱われながらも、
夫は私の好みすら覚えていなかった。
旧恋人には人前で「出自が釣り合わない」と嘲笑され、
夫は命に関わる一本の電話を優先し、
私の人生で初めての発表会には来なかった。
私は静かに離婚届を差し出した。
誰にも告げず、彼の子どもを身ごもったままパリへ渡る。
ゼロからのスタートだった。
やがて国際ジュエリーデザイン賞を受賞するまでになる。
それから二年後。
授賞式のステージに光が落ちる中、
客席にいたあの男はようやく知る。
自分には一度も会ったことのない息子がいることを。
神崎家はすでに彼女の側に立っていた。
ただ彼一人だけが、何も知らされていなかった。
そして今度は彼の番だった。
跪いて許しを請うのは。
だが彼女は静かに言う。
「これは私が自分で決めたこと。
あなたに頼まれて選んだものじゃない」