家族に溺愛されて育った偽物の姉がいる中、本来私に来るはずだった財閥との婚約が奪われかけた――しかし指名されたのは私だった
ぷに
恋愛結婚生活
2026年06月24日
公開日
3万字
連載中
私は元彼の部屋の前で、それを聞いた。
「あの子に近づいたのは、土地の取引のためだ」
涙は出なかった。
タクシーを呼び、橘家へ戻った。
玄関を開けると、リビングには見知らぬ男が座っていた。
両親は「体調の悪い姉・早苗」を必死に彼の前へ押し出している。
しかし彼は、一度も早苗を見なかった。
代わりに、まっすぐ私を見て言った。
「あなたが、桐嶋明日香?」
そして静かに続ける。
「婚約書に書かれている名前は、最初からあなたのものだ」
宮代律臣。宮代グループの後継者。
夢のような人が、淡々と言った。
「――十年間、ずっと好きだった」